親が高齢になってくると、直面する問題の一つが介護施設の選び方です。でも、介護施設の種類に関する知識がないと、何を基準に選んだらよいのか悩みますよね。
この記事では、介護施設の種類とその特徴について詳しく説明します。
あなた自身やあなたの親にふさわしい施設を見つけましょう。
1. 介護施設の運営主体は「公的施設」と「民間施設」の2つ
介護施設の運営主体は大きく「公的施設」と「民間施設」の2つに分類されます。
公的施設は地方自治体や国が運営する施設です。公営施設、国営施設、社会福祉法人運営施設などがあります。これらの施設は、公的な基準に基づいて運営されているので、費用が抑えられるのが特徴です。そのため人気があり、すぐに入居できないこともあります。施設によっては、低所得者に対する優遇もあるようです。
民間施設は民間の企業や団体が運営する施設です。介護保険施設、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などがあります。民間施設は、より多様なサービスや設備を提供できる反面、費用が高額になることも。
介護施設を選ぶ際は、公的施設と民間施設の特徴を知って、あなた自身や親のニーズに最適な選択をすることが重要です。
1. 主な「公的施設」4種類の特徴
公的施設の特徴は、各施設で違います。
主な4つの公的施設の異なる特徴を見ていきましょう。
1. 軽費老人ホーム(ケアハウス)
「ケアハウス」とも呼ばれます。
対象は自立していても生活に不安がある人です。
食事提供や生活相談などのサポートはありますが、身体介護はありません。
費用が比較的安く、自立度が高い人向けです。
2. 特別養護老人ホーム(特養)
省略して「特養」とも呼ばれています。
対象は要介護度3以上の人です。
24時間介護職員が常駐しており、食事・入浴・排せつ介助などの身体介護や医療ケアも受けられます。
終身の入居が可能です。
3. 介護老人保健施設(老健)
省略して「老健」とも呼ばれています。
要介護度1以上の安定した病状の人が入れます。
病院を退院後に在宅復帰を目指して、看護や介護、リハビリを中心とした医療ケアと生活サービスを受けるための施設です。
入居期間は原則3〜6カ月です。
4. 介護医療院
対象は要介護1以上の人です。 医療と介護のニーズに対応するための介護保険施設として2018年に開設されました。
医療や看取りなどの医療機能と、介護施設としての機能を提供する施設です。
療養機能にウエイトを置いたⅠ型と、機能訓練や必要な医療にウエイトを置いたⅡ型があります。
2. 「民間施設」4種類の特徴
現在では民間の企業や団体が運営する介護施設も多くあります。
以下に、4つの施設の主な特徴を解説します。
1. 介護付き有料老人ホーム
要介護1から5の人が対象です。
介護サービスの利用を前提として入居する施設となります。
介護スタッフが24時間常駐し、食事や入浴・排泄の介助などの介護支援、居室の清掃や洗濯などの生活支援、看護スタッフなどよる健康管理の支援を受けられます。
施設によりますが、専門スタッフによる機能訓練、体操などのアクティビティや季節のイベントが行われることもあるようです。
2. 住宅型有料老人ホーム
生活支援などのサービスが付いた施設です。
自立状態の人から要支援・要介護の人まで入居できます。
施設内は暮らしやすいように整備されています。
介護が必要になった場合は、担当のケアマネジャーと相談して、介護サービスの利用が可能です。
施設内にデイサービスや訪問介護事業所が併設されている住宅型有料老人ホームもあります。
3. サービス付き高齢者向け住宅
バリアフリー仕様、居住スペースの床面積、手すりの設定まで細かく規定された賃貸住宅です。フロントにスタッフが配置されていますが、施設によって24時間体制ではないこともあります。
安否確認と生活相談サービスはついていますが、 食事、掃除、健康の維持管理、介護などのサービスは別途契約が必要です。
入居者は自立した生活が可能な人が中心ですが、要支援や要介護の人も入居できるところが多くなっています。
外出制限はないので、自由に過ごしたい人には快適に過ごせるでしょう。
住民同士のコミュニティ形成や様々なレクリエーション活動が行われることもあるようです。
4. グループホーム
認知症と診断を受けた要支援2以上の人が対象の施設です。施設と同じ地域の住民票がある人しか入居できません。
認知症の人は環境の変化による精神的負担が大きいと考えられているため、顔なじみの人間関係の中で、環境の変化を最小限に抑えた5名から9名ほどのグループで共同生活を送ります。
2. 介護施設を選ぶ際に確認したいポイント
介護施設を選ぶ際には、以下のポイントを確認することが重要です。インターネットを利用して調べておきましょう。
1. 施設の立地とアクセス
あなたや家族、友人が施設を訪れやすい場所にあるかどうかを確認しましょう。
公共交通機関を利用して訪れる場合は公共交通機関の利便性を、自家用車を利用して訪れる場合は駐車場の有無が確認のポイントです。
2. 提供されるサービス内容と質
介護サービスの種類や質を確認し、ニーズに合ったサービスが提供されているかを確認しましょう。
医療ケアや機能訓練などのニーズに対応できるか確認しておくことが大切です。
3. 施設の評判や口コミ
インターネットや口コミサイトで施設の評判や利用者の声を見てみましょう。
他の利用者や家族の体験談だけではなく、近隣住民の感想でも施設の現状について見えることがあります。
いろいろな意見を参考にして、施設の信頼性や満足度を確認しましょう。
4. 費用や入居条件
施設の料金体系や支払い方法、追加料金が発生する場合の条件を確認しましょう。
入居条件や契約期間、解約の条件なども前もって詳細に確認しておくことが重要です。
3. 介護施設を見学する際に確認したいポイント
1. スタッフの対応
スタッフの入居者への対応やコミュニケーションが適切かどうかを観察しましょう。
スタッフは見学者が来るとわかっている場合は丁寧な対応をするように管理者から指導されていることが多いので、見学の短い時間で本来の姿を見るのは難しいです。疑問に思うことは、すぐに質問してみましょう。
2. 生活環境や施設の清潔さ
施設内の環境や清潔さを確認しましょう。入居者のプライバシーが保護され、快適な生活環境が提供されているかを確認しましょう。
居室だけではなく、入居後に利用する可能性があるダイニング、バス、トイレのチェックも忘れずに。
4. 介護施設の種類と特徴を把握して自分に合った施設を選びましょう
介護施設には複数の種類があり、特徴はそれぞれ違います。経済的な問題、心身の状態、介護の度合い、認知症の状況によって、ある程度入居できる施設は絞られますが、各施設のサービス内容、費用の相場を比較して、あなたとあなたの親に合った介護施設を選ぶことが大切です。
疑問に思うことは一人で抱えずに担当のケアマネジャーや行政窓口、施設担当者など専門的な知識をもった人に相談しましょう。
あなた自身と親のニーズに合った施設を見つけて安心感が得られるように願っています。
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