親の介護が必要になってくると、直面する問題の一つが介護施設の選び方です。しかし介護施設の種類に関する知識がないと、何を基準に選んだらよいのか悩みますよね。
この記事では、親の介護が必要な方向けに、介護施設8種類の特徴と選び方について、わかりやすく解説していきます。
最後まで読み進めれば、自分自身や自分の親にふさわしい施設が見つかり、気持ちが楽になるはずです。ぜひご覧ください。
介護施設の運営主体は公的施設と民間施設の2つ
介護施設の運営主体は大きく公的施設と民間施設の2つに分類されます。
公的施設は地方自治体や国が運営する施設です。
公的施設には以下の4種類があります。
- 軽費老人ホーム(ケアハウス)
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護医療院
公的施設は、公的な基準に基づいて運営されているので、費用を抑えられるのが特徴です。人気があり、すぐに入居できないこともあります。施設によっては、低所得者が優遇されます。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- グループホーム
民間施設は、公的施設より多様なサービスや設備を提供できる反面、費用が高額になることもあります。
介護施設を選ぶ際は、公的施設と民間施設の特徴を知って、自分自身や親のニーズに最適な選択をすることが重要です。
1. 公的施設4種類の特徴
公的施設の特徴は、各施設で違います。
主な4つの公的施設の異なる特徴を見ていきましょう。
a. 軽費老人ホーム(ケアハウス)
軽費老人ホームは、ケアハウスとも呼ばれます。
対象は自立していても生活に不安がある人です。
食事提供や生活相談などのサポートはありますが、身体介護はありません。
費用が比較的安く、自立度が高い人向けです。
b. 特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは、省略して特養とも呼ばれています。
対象は要介護度3以上の人です。
24時間介護職員が常駐しており、食事・入浴・排泄介助などの身体介護や医療ケアを受けられます。
終身の入居が可能です。
c. 介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設は、省略して老健とも呼ばれています。
要介護度1以上の安定した病状の人が入れます。
退院後に在宅復帰を目指して、看護や介護、リハビリを中心とした医療ケアと生活サービスを受けるための施設です。
入居期間は原則3〜6か月です。
d. 介護医療院
対象は要介護1以上の人です。 医療と介護のニーズに対応するための介護保険施設として2018年に開設されました。
医療や看取りなどの医療機能と、介護施設としての機能を提供する施設です。
療養機能にウエイトを置いたⅠ型と、機能訓練や必要な医療にウエイトを置いたⅡ型があります。
2. 「民間施設」4種類の特徴
現在では民間の企業や団体が運営する介護施設も多くあります。
以下に、4つの施設の主な特徴を解説します。
a. 介護付き有料老人ホーム
要介護1から5の人が対象です。
介護サービスの利用を前提として入居する施設となります。
介護スタッフが24時間常駐し、食事や入浴・排泄の介助などの介護支援や居室の清掃や洗濯などの生活支援、看護スタッフなどによる健康管理の支援を受けられます。
専門スタッフによる機能訓練、体操などのアクティビティや季節のイベントが行われる施設もあります。
b. 住宅型有料老人ホーム
生活支援などのサービスが付いた施設です。
自立状態の人から要支援・要介護の人まで入居できます。
施設内は暮らしやすいように整備されています。
介護が必要になった場合は、担当のケアマネジャーと相談して、介護サービスの利用が可能です。
施設内にデイサービスや訪問介護事業所が併設されている住宅型有料老人ホームもあります。
c. サービス付き高齢者向け住宅
入居者は自立した生活が可能な人が中心です。施設によっては要支援や要介護の人も入居できます。
バリアフリー仕様や居住スペースの床面積、手すりの設定まで細かく規定された賃貸住宅です。フロントにスタッフが配置されていますが、施設によって24時間体制ではないこともあります。
安否確認と生活相談サービスは付いていますが、 食事や掃除、健康の維持管理、介護などのサービスは別途契約が必要です。
外出制限はないので、自由に過ごしたい人は快適に過ごせるでしょう。
住民同士のコミュニティ形成や様々なレクリエーション活動を楽しまれる方もいます。
d. グループホーム
認知症と診断を受けた要支援2以上の人が対象の施設です。施設と同じ地域の住民票がある人しか入居できません。
認知症の人は環境の変化による精神的負担が大きいと考えられているため、顔なじみの人間関係の中で、環境の変化を最小限に抑えた5名から9名ほどのグループで共同生活を送ります。
介護施設を選ぶ際に確認したいポイント
介護施設を選ぶ際に確認するポイントは下記の通りです。
- 施設の立地とアクセス
- 提供されるサービス内容と質
- 施設の評判や口コミ
- 費用や入居条件
チェックするポイントはWebサイトに掲載されています。
インターネットを利用して調べておきましょう。
1. 施設の立地とアクセス
施設の場所が、家族や友人にとって訪れやすいか確認しましょう。
公共交通機関を使うときは、交通の便やアクセス方法をチェックしてください。車を使うときは、駐車場の有無が確認のポイントです。
2. 提供されるサービス内容と質
介護サービスの種類や質を確認し、ニーズに合ったサービスが提供されているかを確認しましょう。
安否確認と食事を提供してほしい→サービス付き高齢者向け住宅
少ない費用で生活支援してほしい→軽費老人ホーム(ケアハウス)
医療ケアや機能訓練などのニーズに対応できるか確認しておくことが大切です。
3. 施設の評判や口コミ
インターネットや口コミサイトで施設の評判や利用者の声を見てみましょう。
リアルな評判を知ることで、入居したときの状況がイメージできます。
他の利用者や家族の体験談だけではなく、近隣住民の感想でも施設の現状について見えることがあります。
いろいろな意見を参考にして、施設の信頼性や満足度を確認しましょう。
4. 費用や入居条件
施設の料金体系や支払い方法、追加料金が発生する場合の条件を確認しましょう。
平均の月額利用料は、公的施設で10万円前後、民間施設で20万円前後となっています。
イベントやリクリエーションの参加費用で追加料金が発生する場合もあります。
入居条件や契約期間、解約の条件なども前もって詳細に確認しておくことが重要です。
介護施設を見学する際に確認したいポイント
介護施設を選ぶ際には、施設を実際に見学して雰囲気を感じることが必要です。介護施設を見学するときに押さえておきたいポイントについて紹介します。見学前に準備を整えておきましょう。
1. スタッフの対応
実際に見学に行った際は、スタッフの身だしなみや挨拶の仕方、話し方などに注意を払いましょう。
さらに、スタッフの疲れ具合も確認してください。人員配置が不足しているなど働きにくい職場環境は、スタッフの表情や態度に現れます。
スタッフに接しにくい雰囲気があると、入居者が不穏になる可能性があるため、注意が必要です。
2. 生活環境や施設の清潔さ
施設内の環境や清潔さを確認しましょう。入居者のプライバシーが保護され、快適な生活環境が提供されていることが重要です。
居室だけではなく、入居後に利用する可能性があるダイニングやバス、トイレも忘れずにチェックしてください。
介護施設の種類と特徴を把握して自分に合った施設を選びましょう
介護施設には複数の種類があり、特徴はそれぞれ違います。
下記の要因によって入居できる施設は絞られます。
- 経済的な問題
- 心身の状態
- 介護の度合い
- 認知症の状況
各施設のサービス内容や費用の相場を比較して、家庭に合った介護施設を選ぶことが大切です。
疑問に思うことは一人で抱えずに担当のケアマネジャーや行政窓口、施設担当者など専門的な知識をもった人に相談しましょう。
自分自身と親のニーズに合った施設を見つけて、安心感が得られるように願っています。
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